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かつてはネイティブ・アメリカンの狩人からトルコの軍隊まで、誰もが好んで使った武器である弓は、世界最古の狩りや漁の道具の1つです。原始的な弓は近代の兵器にはとてもかないませんし、現在はずっと洗練された弓が手に入ります。とはいえ、もし大自然の中で生きるために狩りをするような事態になったら、弓が命綱になるかもしれません。あるいは、『ハンガー・ゲーム』の大ファンで、カットニス・エヴァディーンになりきりたいという人なら(誰だってあこがれますよね?)、原始的な弓を大いに活用できるはずです。何より、最高にかっこいいので友達に見せて自慢できますよ!
ステップ
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弓にする長い木の枝を選ぶ 弓の素材にする原木を選ぶ際には、考慮すべき点があります。 [1] X 出典文献
- オーク(ナラ)、レモン、ヒッコリー(クルミ科の木)、イチイ、ハリエンジュ(ニセアカシア)、チーク、トネリコ、セイヨウネズ、イチゴノキなどの堅木の、枯れてよく乾いた枝(灰色に変色したり、ひび割れたりしていないもの)を用意します。長さは1.8メートル以上必要です。節や歪みがあるものや、小枝がいくつも突き出しているものは避けましょう。また、中央部が太い枝が加工しやすいでしょう。
- セイヨウネズやクワなど、多少しなる木材がおすすめです。竹や笹の茎(稈)も使えますが、あまり太すぎるものは避けます。弓の材料としては、丈夫でしなる若竹が適しています。
- やむを得ない場合には、木から切り取った生木も使えます。ただし、乾いた木材でできた弓よりも威力は劣るので、極力避けるべきです。
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枝本来の曲がり具合を吟味する 自然のままの枝はどれも、程度の差はあれ曲がっています。弓を作るうえでは、枝本来の曲がり方が、主な構造を作る位置を決める手がかりになります。曲がり方を調べるには、枝の片端を地面に着けて反対の端を片手で支え持ち、もう一方の手で枝の中央をそっと押します。すると枝が回転し、カーブの凹側が手前、凸側が奥を向くはずです。 [2] X 出典文献
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ハンドルとリムの位置を決める ハンドル(握り)とリムは、弓を形づくっていくうえで欠かせない構造です。ハンドルの位置を決めるには、弓の中心から上下に7~8センチのところに印をつけます。2つの印の間がハンドル、ハンドルより上の部分が上リム、下の部分が下リムになります。 [3] X 出典文献
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弓の形を作る 下の端を足もとに置き、上の端を片手で支えます。カーブの凹側が自分のほうを向くようにして、もう一方の手で枝を押していきましょう。このようにして、枝のよくしなる場所はどこで、固く、しなりにくい場所はどこかを調べます。しなりにくい部分は、カーブの凹側の木をナイフなどで削りましょう。凸側は削りません。上リムと下リムのカーブがほぼ上下対称になるまで、これを続けます。たびたび手を休めて、全体のバランスを見ましょう。上下のリムのしなりがよくなり、曲がり具合や太さが同じくらいになったら、次のステップに進みます。 [4] X 出典文献
- 弓はハンドル部分を一番頑丈(一番太い状態)にします。
- 凸側の木は削らないように注意しましょう。弓を引くと、カーブの凸側には大きな力がかかります。この部分が少しでももろくなっていると、弓が折れてしまう可能性があります。
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弦をかける切れ込みを入れる ナイフで弓に切れ込みを入れます。側面から始めて、凹側へ木を削っていきます。弓の両端から2.5~5cm離れた部分に、ハンドルのほうに向かって切れ込みを入れます。凸側には切れ込みを入れないように注意します。また、あまり深く削ると、上下のリムが生み出す威力を削いでしますので、弦を固定するのに足りる深さまでにしておきましょう。
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弦の素材を選ぶ 弓の弦には伸縮性は必要ありません。弓の威力を生み出すのは木の部分であり、弦ではないからです。荒野をさまよっていながらでは、弦になる適当な素材を手に入れるのは難しいかもしれません。じゅうぶんに丈夫な弦が見つかるまで、様々な素材を試してみることになるでしょう。以下のような素材が弓の弦に適しています。 [5] X 出典文献
- 生皮
- 細いナイロンひも
- 麻ひも
- 釣り糸
- 綿や絹糸をより合わせた糸
- 一般的なより糸
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弦を張る ひもの両端に大きさを変えられる輪を作り、ほどけないようにします。まずは下リム、続いて上リムに輪をかけましょう。ひもの長さは、弦をかけていない弓の長さよりもやや短くします。こうすることで、弦も弓もぴんと張った状態になります。
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弓を調整する 弦を張った弓を、ハンドルのところで木の枝などにかけて、弦を下方向へ引きます。ゆっくりと引きながら、上下のリムが均等にたわんでいくのを確認しましょう。必要があれば木材を削り取ります。調整を続けて、肩からまっすぐに伸ばした腕の先から、あごまでの距離と同じくらいに弦を引けるようにします。 [6] X 出典文献
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矢にする棒を選ぶ [7] X 出典文献 矢はできるだけまっすぐな木の棒から作ります。乾燥した枯れ枝がよいでしょう。矢の長さは弓の長さの半分、あるいは弦を引ける距離と同じくらいの長さにします。弓を引ける限界に届かない矢は役に立ちません。次のような素材も検討しましょう。
- 生木の枝も矢になります。ただし、時間をかけて自然乾燥させる必要があります。火に当てて乾かそうとすると、樹液に引火するおそれがあるからです。
- アキノキリンソウやビロードモウズイカなどの植物の茎は、まっすぐで丈夫なので矢の素材として適しています。こうした植物は自然に植生しています。
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矢の形を整える 木材を削って滑らかにし、矢の側面を整えていきます。矢柄の曲がりを取るには、炭火の上に矢をかかげて少しずつ熱を加えます。焦げたり、燃えたりしないように注意しましょう。温まったら、矢をまっすぐに伸ばすように持ちながら冷まします。矢の後端には、小さな切れ込みを入れましょう。この切れ込みをノック、または筈(はず、矢筈)と言い、矢を弦につがえるのに使います。
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矢の先端をとがらせる 矢柄の先端を削ってとがらせれば、一番簡単な矢じりのできあがりです。ナイフで木を削って先端をとがらせ、炭火であぶって少しずつ熱を加えて硬くしましょう(今回も、木材を焦がしたり燃やしたりしないように注意します)。
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可能ならば、矢じりを作る(任意) 矢じりは金属、石、ガラス、骨などで作れます。素材を小ぶりな石や金づちで少しずつ叩いて削り、とがった形に整えます。矢の先端に取りつけるには、矢の木材に切れ込みを入れて矢じりを差しこみ、ひもや糸を巻きつけて固定します。 [8] X 出典文献
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矢羽根を作る(任意) 矢羽根があると矢の飛びが安定しますが、野外でのその場しのぎの武器には必須ではありません。矢羽根を作るには鳥の羽根を集め、糊があるならば矢の後端に接着します。あるいは、矢の後端に切れ目を入れて羽根を差しこみ、細い糸(身につけている衣服から取れます)をきつく巻きつけます。後者の方法ならば、鳥の羽根以外にも様々な素材を矢羽根にできます。 [9] X 出典文献
- 矢羽根の役割は、船のかじや、小型飛行機の方向舵に似ています。矢が空中をきわめて正確に飛んでいくように導くのです。
- グライダーの翼のような効果もあり、矢羽根があると、矢の飛距離は格段に伸びます。
- ただし、完璧な矢羽根を作るのはやや難しく、生き延びるために弓矢を作るという場合には、矢羽根の優先度は下がります。
ポイント
- 滑らかな木材を探しましょう。ごつごつとした木材では手が傷だらけになります。また、矢羽根が傷ついて外れやすくなり、的を射るのが難しくなります。
- さらに弓を曲げたい場合には、弓を水に浸して濡らし、よいと思えるところまで曲げます。その後、必ずよく乾燥させましょう。
- あまり大きい弓は構えられないので、大きくしすぎないよう気をつけましょう。
- 弓矢を漁にも使うつもりなら、矢に糸を結んでおけば、射抜いた魚を矢とともに引き戻せます。
- 竹は丈夫で、優れた弓を作ることができます。耐久性も高いので、他の素材の弓よりも長持ちします。
- 矢は矢筒に収納しておくとよいでしょう。
- 空撃ち(矢をつがえずに弓の弦を引くこと)はやめましょう。空撃ちを繰り返すと弓が傷みます。
- 弓は常に顔から離して構えましょう。
- 弓の威力を高めるには、同じ形の弓を2本作り、正面と正面を紐や綱で結び合わせます(この時点で横から見るとX字状になります)。さらに、上下の先端を結び合わせ、片方の弓に弦を張りましょう。これは原始的な石弓の一種です。
- マツも弓の材料として適しています。ただし、焚火に近づけた際に樹液が発火しやすいので、よく乾燥させてから使います。
- 怪我の予防にリストガードを着けましょう。
- 人に向けて矢を放ってはいけません。
- 矢羽根は矢の後端の周囲に、120度間隔で付けるとよいでしょう。90度間隔で付けると、射た際に自分に当たります。
- 矢をつがえずに弦を引くのはやめましょう。弓が傷むばかりか、弦が自分の腕に当たって、ひどいあざができたり、やけどをしたりする危険があります。
- 作った矢を射る際には、適切な的とバックストップ(外れた矢を受け止めるもの)を用意しましょう。
- より糸は弓作りにも矢の調達にも活用できます。
- 普通のひもの代わりにゴムひもを使うと、さらに強力な弓が作れます。
- 初心者はまず、細い枝で弓を作ってみましょう。殺傷能力のない、初心者に最適な弓です。
- 子どもが弓矢を作る場合は、必ず大人が見守りましょう。矢の先端は丸めるか、発泡スチロールの矢じりをつけます。
- 弓に深さ1センチ、縦2.5センチほどの切り込みを入れ、弓を引いた際に矢を置けるようにしてもよいでしょう。矢を固定し、ブレを防ぐのに役立ちます。
- 弦にするひもがなければ、植物のつるが使えます。より合わせたり編んだりして、じゅうぶんな長さや太さにして使います。
注意事項
- この記事で紹介した弓矢は一時的な使用を目的としたもので、長持ちはしません。弓は使ううちに、折れやすくなっていきます。使用中に壊れるのを防ぐため、3~5か月を目安に新調しましょう。
- 複数人で弓を射る際には、必ず全員が矢を放ち終えたのを確認してから、矢を回収しにいきましょう。
- 弓矢は殺傷能力のある武器です。使用の際はじゅうぶんに注意し、殺すつもりのないものは絶対に狙わないようにしましょう。
- 弦を一から作るのは難しいので、キャンプなどで弓を作る場合は、弦は持参するとよいでしょう。
- 刃物の使用にはじゅうぶんに注意しましょう。
- 弓矢は小さい子供の手の届かないところで保管します。
- 弓矢を効果的に使うのは簡単ではありません。生き延びるために狩りをしなければならない場合には、罠を作るか、もっと使いやすい武器を用意するほうがよいかもしれません。
必要なもの
- 堅木の棒:約1.8メートル。よくある堅木としては、アメリカハリグワ、イチイ、オークなどが挙げられます。できるだけまっすぐな、直径5センチほどの木材が必要です。
- 伸縮性のないひも:草刈り機用のナイロンコード、ナイロンの弦、ガット(腸線)、腱、より糸など。
- 木を加工する道具:斧、ドローナイフ(銑)、大小のかんな、様々な目の大きさの金属やすり、紙やすり
- 矢の材料にするまっすぐな枝:約80センチ
- 羽根(任意)
- 矢じりの材料:フリント(火打石)、金属、プラスチックなど(任意)
- スチールウール(木工用金属たわし、任意)
出典
- ↑ https://www.popularmechanics.com/home/how-to-plans/how-to/a17108/make-a-bow-and-arrow-by-hand/
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=rKABQbNuKeE
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=SLoukoBs8TE
- ↑ https://www.wildernessawareness.org/articles/survival-bow-making
- ↑ https://www.fieldandstream.com/How-Make-Homemade-Bow/
- ↑ http://www.wildernesscollege.com/bow-making-instructions.html
- ↑ http://www.primitivearcher.com/articles/MakingArrowsNaturally.html
- ↑ https://www.thereadystore.com/diy/10063/how-to-make-your-own-arrowheads/
- ↑ https://www.youtube.com/watch?v=5E-6jqZIyks