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オペラは総合芸術であり、身体、頭、心を魅了する、包括的な芸術形態です。プロのオペラ歌手は、音楽家としての才能を磨き、クラシック音楽の声楽技法を身につけ、演技力を高め、外国語を習得しなければなりません。オペラ歌手とはこういったスキルをすべて自然に舞台で発揮することが期待される職業なのです。ここではオペラ以外の分野でも歌手として活躍する上で役に立つスキルを紹介します。

パート 1
パート 1 の 4:

オペラを学ぶ

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  1. クラシック音楽の歌唱技法は、声域、喉の共鳴、声量、そして響きを最適化するテクニックです。クラシック音楽の歌手は、マイクを使わないにもかかわらず、他のジャンルの歌手よりも大きく響く歌声を披露してくれます。この技法を習得するには優秀な先生の援助が必要となります。よい先生を探すには日本声楽家協会に問い合わせるのも一つの方法です。アメリカで探す場合は全国歌唱教育協会のサイトにある名簿を利用してもよいでしょう。 [1]
  2. 優秀な歌手による多種多様なオペラ作品の録音を聴いてみましょう。聴き込んでいくと、どんな作曲家、どんな時代の作品が自分にとって深く響くか、自分の音楽的傾向がだんだん分かってくるものです。
    • ウェブにはオペラ公演の映像や録音が視聴できるサイトも多くあります。近くの図書館でオペラを視聴できる場合もあるので確認してみるのもよいでしょう。メトロポリタン歌劇場、ウィーン国立歌劇場、テアトロ・レアルといった世界的な歌劇場が提供する有料のオンデマンドのライブラリーを購買することも検討する価値があるかもしれません。バイエルン国立歌劇場やベルギー王立歌劇場のように定期的に無償で公演中継のウェブ配信を行っているハウスもあります。またEU諸国の数々のオペラハウスの最近の上演作品が無料でオンデマンド視聴できるOperaVisionを利用するのもよいでしょう。録音を通して素晴らしい歌唱から学ぶ上で忘れてはならないのは、過去の偉大な歌手の物まねをするのではなく、自分自身のユニークな声を育てていかなければならない、ということです。
    • 録音だけではなく、映像も鑑賞しましょう。他の歌手の舞台上の動きや顔の表情を見ることは、オペラ歌手として磨いていかなければならない舞台演技力の面で大いに勉強になるはずです。
  3. 映像を見るのは役に立ちますが、生の公演に出向き、オペラ公演を身をもって直に体験する素晴らしさの比にはなりません。多くの大都市にあるオペラハウスでは秋から春にかけてのシーズン中、ほぼ毎日公演が行われています。
  4. プロのオペラ歌手を目指すなら(あるいは愛好家であっても)、最低イタリア語、ドイツ語、フランス語の3ヶ国語は、ある程度徐々に身に着けていくことが望まれます。身に着ける、というのはそれぞれの外国語の基本的な文法構造を理解し、楽譜に記載されたせりふの意味がつかめる程度の語彙を持つ、ということです。実際の舞台上ではプロンプターが歌詞を思い出す手助けをしてくれるとはいえ、自分のパートのせりふの意味はよく理解した上で歌わなければなりません。また同じ場面で他の歌手が何を歌っているのかが分からなければなりません。さらに歌う言語のディクション(歌唱発音法)がしっかりしている必要があります。どんなに美しい歌唱でも、何を歌っているか観客が分からなければ意味がありません。ソリスト全員だけでなく合唱団員のディクションを熱心に矯正してくれる意欲的なコレペティートル(音楽監督の助手的な役割を担う職業)や歌劇場付きのディクションコーチが手助けをしてくれる場合もあるかもしれませんが、リハーサルに入る前にしっかりしたディクションを身に付け、歌詞の言葉のリズムや流れを把握しておくべきです。手始めとして簡単なイタリア歌曲から覚えていくとよいでしょう。
  5. まずは有名作品や人気作曲家を詳しく知ることから始め、オペラのレパートリーについての知識を深めましょう。作曲家、演奏歴、関連楽器、そして頻繁に演奏されるオペラのスタイルについては熟知しておくべきです。 [2]
  6. オペラ歌手は、大きく言ってソプラノ、メゾソプラノ、アルト、コントラルト、カウンターテナー、テノール、バリトン、そしてバスに分類されます。この分類はさらに音色、声量、歌唱の柔軟性などの特徴によって細かく分類されます。歌声のそれぞれの特徴を細かく区別するのに「ファッハ」という用語が用いられることがあります。自分の声のタイプがどのファッハに相当するのか、あるいは最も適切なレパートリーや役割がどのようなものかを判断するには、恐らく数年の訓練が必要となるでしょう。また喉が熟すにつれて相応しい役も変化していくものです。 [3]
  7. クラシック音楽に携わる者は熟練した楽譜読解力を身につけていなければなりません。オペラの楽譜を解釈する力を持たずに役作りするなどということは不可能です。言葉の機微が分からないシェイクスピア名優など存在しないのと同じことです。
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パート 2
パート 2 の 4:

クラシック音楽の歌唱技法を学ぶ

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  1. 歌唱には正しい姿勢が不可欠です。姿勢は歌唱技術のあらゆる面で影響を及ぼします。 [4] 深く呼吸できる能力はオペラを歌うために必要とされるスキルの一つです。体に無理な力をかけず、リラックスした状態で、しかも真っ直ぐ立った姿勢をとることが、効果的な歌唱の披露につながる重要な鍵となります。
    • 自分の呼吸法を再確認しましょう。腹部や喉が必要以上に緊張していないか、息をおなかに溜め込んでいたり、息を吸うときに大きな音を立てていないか確認します。
    • 喉や腹部に無理な力を込めず、まずはゆっくりと深呼吸をしてみましょう。そして徐々に呼吸を早くしていきます。
  2. 歌唱技術の向上には資格を持つ声楽の先生に毎週1対1のレッスンを受けることが不可欠です。よい先生を探すには日本声楽家協会に問い合わせるのも一つの方法です。アメリカで探す場合は全国歌唱教育協会のサイトにある名簿を利用してもよいでしょう。 [5]
    • プロのボイスコーチの指導を受けましょう。ボイスコーチとは歌唱技術の訓練を指導してくれる先生であり、歌手の音楽家としての才能を伸ばし、ドラマの面から作品解釈を深める手助けを行い、ディクションを向上させ、公演に向けた練習を支援する専門家です。ボイスコーチはレパートリーでの実力を磨き、洗練された歌唱が披露できるように指導してくれます。
    • 芸術活動が盛んな都市に住んでいるなら、実際に地元のプロの歌手を育てているコーチを探しましょう。コーチは大抵、経験が浅くとも才能のある歌手を次のレベルに引き上げ、育てていくのに熱心なものです。またコーチはオペラ業界に顔が広く、キャリアアップを支援してくれるような影響力のある人々を紹介してくれることでしょう。
    • 地元の芸術団体に、プロの声楽の先生あるいはボイス・コーチを紹介してくれるように依頼するのもよいアイディアです。コーチをオンラインのデータベースやウェブサイトで紹介している場合もあります。その場合は、レビューや評価をしっかり確認した方がよいでしょう。本人が直接教えることができない場合でも、よい先生やコーチを紹介してもらえないか頼んでみましょう。
  3. 新しい先生についた場合は、先入観を捨て、新しい訓練方法にもこだわりなく挑戦してみましょう。ただし、その訓練が原因で喉にストレスや違和感を覚えるようになった場合は、無理に続ける必要はありません。正しい歌唱練習では、喉に痛みを覚えたり、声を枯らすことはない筈です。
    • レッスン中に喉の疲れや不快感を覚えたら、すぐにコーチに知らせます。個別の生徒の喉の状態が把握できれば、コーチは訓練方法を適宜調整してくれるものです。
    • 一人で練習する際、喉に負担や違和感を感じたとしたら、今現在の能力以上の高音・低音、あるいは声量を出そうとしている可能性があります。無理に声を出そうとするのはやめましょう。どうしたら効率的に今以上の声域・声量が出せるようになるか、コーチに相談します。
  4. 多くの音楽学校や音楽団体が、地域の音楽家が参加できる予備課程や成人向けのクラスを提供しています。オペラのワークショップに参加すると、歌手仲間と一緒にアリアやオペラのシーンを練習することになり、よい勉強の機会となります。さほどプレッシャーを感じることなく、役に立つフィードバックも受けられます。また公演経験を積むのにもよい機会です。
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パート 3
パート 3 の 4:

オペラを歌うための歌唱訓練

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  1. 履き心地のよい靴を履き、膝には力を入れず、緩く曲げます。骨盤は前方や後方ではなく、体の中心軸に持ってきます。胸を張り、背中は丸めず真っ直ぐにし、肩は心持ち後ろに引きます。首や顎には力を入れず、頭を上げたり下を向いたりせず、真っ直ぐに前を向きます。
  2. 完全呼吸を身に着けましょう。腹式呼吸と胸式呼吸の両方を使って息を吸い、無理に押し出すことなく自然に吐く練習をします。
    • 息を吐き、歌いながら、肩はリラックスさせ、胸は張ったよい姿勢を維持します。
    • 歌唱中に腹筋に力を入れたり、胸郭を締め付けたりしてはいけません。
    • 喉をリラックスさせて、大きな吸い込み音を立てずに息を吸い込む訓練をします。
  3. ディクションの向上には不可欠な訓練です。普段喋るときの母音と子音の発音の仕方は、自由度でも響きの点でもクラシック歌唱法上は不十分です。全く新しい発声、歌唱に適した仕方で発音する訓練が必要です。喋り言葉の場合、顎、舌、唇はすべて一緒に動きます。しかし歌を歌う場合は、より効率のよい仕方でそれぞれの器官が独立して動かすことが要求されます。
  4. 「レガート」とはイタリア語で「直線」という意味です。速いリズミカルなパッセージ(楽節)に取り組む前に、持続的で安定した流れを持つ歌唱をマスターすることが重要です。
    • 母音だけの長いフレーズを練習します。一つの音から次の音に移る時に一音ずつエネルギーを出すのではなく、発声が一定して滑らかな線を描くことができるように練習します。
    • 息はフレーズの進行に左右されて遅くなったり早くなったりせず、一定の調子で吐くように訓練します。
  5. コロラトゥーラはオペラ歌唱の特徴的な技巧の一つです。楽曲内に独自の装飾技巧を駆使した歌唱表現を即興で盛り込むことを指します。装飾技巧には、スケール、トリル、アルペジオ、アッポッジャトゥーラなどがあります。 [6]
    • スケールとは昇順の音階のことです。 [7]
    • アルペジオとは、和音の音符を一度に出すのではなく(楽器の場合)、それぞれの音符を単独に続けて歌うことです。 [8]
    • アッポッジャトゥーラは、歌手が「不正な」音符(要求される音程と違う音程)でフレーズを始め、その後、音程を正しい音程にスライドさせていく装飾的技法です。通常、不協和音が協和へと解決されていきます。 [9]
  6. オペラでは大いにスタミナが必要とされます。毎日練習することで、喉は頻繁な歌唱に馴れていきます。オペラ歌手のハードスケジュールに相応しい耐性が養われるでしょう。
    • 病気の時、特に鼻水が大量に出ている時は練習しないほうがよいでしょう。粘液が声帯を刺激する恐れがあります。 [10]
    • 練習時間以外でも、気軽に歌の練習はできます。例えば、車での移動中にオペラのCDをかけて一緒に歌うのもよいでしょう。系統だった練習の代わりにはなりませんが、歌の練習にはなります。
  7. 先生について練習していない場合は特に、自分の歌唱を客観的に聴き、自分自身で建設的な評価ができるようになることが重要となります。息継ぎも含めた呼吸の調子、音程が安定しているかどうか、無駄な力が入って発声がこわばっていないか、という点に注目し、向上が必要な点を特定します。
  8. 喉だけを使って歌うのではなく、体の芯の筋肉を使って歌いましょう。声量の面でも、スタミナをつけていくという意味でも役に立ちます。体の芯の筋肉は、オペラ歌手にとって最も重要な筋肉であり、日々の練習でもこの体の芯の筋肉を鍛えることを意識するとよいでしょう。
  9. 他の分野の歌手とは違い、オペラ歌手はマイクを使用しません。声を自分で増幅し、広大な空間でも観客にはっきりと聴きとれる歌唱を披露する方法をマスターしたのがオペラ歌手なのです。 [11]
    • 音響面で適切な練習場を見つけましょう。あまり小さい部屋で練習し続けると、声量の向上が抑制される場合もあります。
    • 声量を上げていく際は、無理な力を込めてはいけません。息と歌唱の源が喉から体の芯に移行すると、声量の向上につながります。
    • 屋外あるいは非常に広い部屋で練習することも検討してみましょう。
  10. 集中し、呼吸を整えることから始め、その日の練習目標を設定します。 [12]
    • 高音・低音を出す前に十分に喉を温めましょう。
    • 午前中は声の調子がのらない場合もあります。喉がなかなか温まらない日は、練習を午後以降に回してもよいでしょう。
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パート 4
パート 4 の 4:

才能の使い道を決める

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  1. よい声を持ち、美しい声質、安定した音程で歌えるなら、プロのオペラ歌手の道を目指したいと思うかもしれません。プロのオペラ歌手を志望するなら、歌唱と同時に演技力も磨きます。
    • オーディション情報を集めます。オーディションには十分に準備して臨み、当日に向けて最高の実力が発揮できる状態にします。
    • オペラの人気が高く、オペラ歌手の仕事が多い地域に引っ越すことも検討すべきでしょう。キャリアのために、大都市や外国に移り住むメリットも考慮するべきです。 [13]
  2. オペラ作品は頻繁に上演していなくとも、毎年定期的にミュージカル公演を何度か行っている劇場があるかもしれません。予定に入っている公演で役がもらえないかどうか、ドアを叩いてみるのも一つの手です。キャストに選ばれたら、音楽監督から無料の歌唱上の手ほどきが受けられる場合もあります。
  3. 歌うことや歌手とのチームワークは大好きでもプロの歌手にはなりたくない場合、ボーカルコーチの道を進むという選択肢もあります。コーチになるための専門的な訓練を受けることを検討しましょう。自分が学んできたことを活かし、歌手を志望する人々の手助けをするのはやりがいのある仕事です。
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