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歌舞伎は日本を代表する文化で、国の重要無形文化財にも指定されています。 [1] ただ、映画や演劇などの他の娯楽にくらべると「敷居が高い」と感じている人が多いようです。しかし、実際は、歌舞伎は庶民のための大衆娯楽として受け継がれてきたものですし、料金についても、一部分を見る一幕見席(ひとまくみせき)では1,000円以下のこともあります。それほど、かしこまる必要はありません。マナーなどのちょっとしたポイントを抑えて、気軽に足を運びましょう。

パート 1
パート 1 の 2:

チケットを予約する

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  1. 歌舞伎をより楽しむために、まずは基礎知識として歌舞伎の歴史を知りましょう。歌舞伎の語源は「傾(かぶ)く」で、歌舞伎のルーツである「かぶき踊り」は1603年に京都ではじめられたとされています。 [2] つまり400年以上に渡って、私たち日本人を楽しませている芸能なのです。
    • 歌舞伎の語源は「傾(かぶ)く」です。その意味は「奇抜な身なりをする」で、流行の最先端をいく奇抜な身なりをする人を「かぶき者」といいます。
    • 歌舞伎のルーツとされる「かぶき踊り」はかぶき者を真似た身なりで行う踊りだったとされています。
    • 江戸時代はとくに第八代将軍の徳川吉宗の時代に発展し、このときに歌舞伎の独特の舞台装置が整えられたといわれています。 [3]
    • 太平洋戦争中は制限されたものの歌舞伎の上演は続けられ、歌舞伎が全国的に消えた日は1カ月間もありませんでした。 [4]
    • 地域の有志が運営する歌舞伎もあります。 [5] ここでは、現在、松竹株式会社が運営している歌舞伎を中心に、その鑑賞方法を紹介します。
  2. 歌舞伎が行われる会場は全国にいくつかあります。毎月行われるのは東京都中央区にある歌舞伎座です。その他にも新橋演舞場(東京都中央区)、大阪松竹座(大阪府大阪市)、南座(京都府京都市)などで行われています。 [6]
    • 国立劇場(東京都千代田区)、御園座(愛知県名古屋)などでも不定期に行われています。
    • 江戸川区総合文化センターや横須賀芸術劇場などの公立のホールでも巡業公演が行われています。
  3. 歌舞伎には4,000以上もの演目があり、現在、上演されるものでも300以上はあるとされています。チケットを予約する前に、まずは自分に好みに合う演目を選びましょう。
    • 歌舞伎の演目の題名を「外題(げだい)」といいます。
    • 演目は内容や成り立ち、構成などによって分類することができます。
    • 内容による分類では「時代物(じだいもの)」「世話物(せわもの)」「松羽目物(まつばめもの)」「所作事(しょさごと)」などにわけられます。
      • 時代物とは江戸時代よりも古い時代の出来事を題材にしたものです(江戸時代の人にとっての時代劇です)。 [7]
      • 世話物は江戸時代の町人の生活を描いたものです(江戸時代の人にとっての現代劇です)。
      • 松羽目物の松羽目とは能舞台を模した舞台装置のことで、能や狂言をとり入れた演目を「松羽目物」といいます。
      • 所作事は演者が音曲に合わせて舞い踊ることで物語を表現するものです。
    • 成り立ちによる分類では「義太夫狂言(ぎだゆうきょうげん)」「純歌舞伎」「新歌舞伎」にわけられます。
      • 義太夫狂言は、もともとは人形浄瑠璃(にんぎょうじょうるり)のために書かれ、後に歌舞伎にされたものです。
      • 純歌舞伎は歌舞伎として上演されるために書かれたものです。江戸時代中期以降に生まれた多くの作品は、この純歌舞伎です。
      • 新歌舞伎は明治時代の半ば(20世紀初頭)以降に書かれたものです。なお、太平洋戦争後に新たに書かれた演目は「新作歌舞伎」と呼び、新歌舞伎とは区別されています。
    • 構成による分類では「見取り」と「通し」があります。
      • 見取りは見どころとなる場面のみを、三つほど合わせて上演するものです。
      • 通しは一つの物語を通して上演するものです。
    • 武蔵坊弁慶の源義経への忠義心を描いた『勧進帳』は初心者も見やすい演目の一つです。 [8]
    • 有名な役者を見たいなら、『助六由縁江戸桜』のように助六という言葉が入っている演目がよいでしょう。個性豊かな登場人物が多く登場し、有名な役者が出演する傾向があります。
    • セリフが聞き取れるかが心配なら、舞踊を中心とした演目から入るのもよいでしょう。『京鹿子娘道成寺』などが人気です。
    • 多くの場合、歌舞伎は昼の部と夜の部の二部制で、上演時間はそれぞれ4~5時間くらいです。昼、夜それぞれ3~4演目程度上演されますが、そのうちの一つの演目だけを楽しむ「一幕見席」もあります。
  4. テレビで活躍している歌舞伎役者もたくさんいます。気になる役者がいるなら、その役者が出演している演目を選ぶという選択肢もあります。
    • 役者についての知っておきたい知識として、基本的に歌舞伎役者は世襲制です。ただし、血縁のない芸養子が継ぐ例もあります。 [9]
    • 歌舞伎には屋号(やごう:一門の特徴をもとに付けられる称号)と名跡(みょうせき:代々継承される個人名)があります。例えば映画監督としても活躍している坂東玉三郎は、名跡としては五代目で、屋号は大和屋です。 [10]
  5. 会場や演目、役者などから見たい演目を決めたらチケットを予約します。自分の都合を優先して、見る歌舞伎を選んでもよいでしょう。チケットの入手方法には「電話」「インターネット」「劇場窓口」という三つの方法があります。
    • 電話は「チケットホン松竹」というサービスを利用します。 [11]
      • 電話で予約したチケットは劇場窓口以外にも全国のセブンイレブンの各店舗で受け取ることができ、宅配便も利用可能です。代金はチケットの受け取り時に支払います。
    • インターネットは「チケットWeb松竹」というサイトを利用します。 [12] その他にも「ローソンチケット」「チケットぴあ」「e+(イープラス)」「セブンチケット」などのチケットサービスでも予約できます。
      • 「チケットWeb松竹」を利用する場合は会員登録が必要です。
    • 劇場窓口では他の会場の席も予約できます。なお、残席がある場合は当日の開演時間直前でも購入可能です。
      • 基本的に席の料金は舞台に近いほど高く、離れるほど安くなります。会場や演目によって料金は異なりますが、目安としては、もっとも舞台に近く、一段高くなっている「1階桟敷(さじき)席」は20,000~25,000円くらい、舞台から離れた3階B席は5,000~6,000円くらいです。
    • 一幕見席は予約できません(当日券です)。基本的に一幕見席は席の場所は舞台からもっとも遠く、料金は800~2,000円くらいです。
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パート 2
パート 2 の 2:

歌舞伎を見る

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  1. 歌舞伎の世界には独特の言葉もあります。その言葉の意味を知ることは、歌舞伎の世界に触れるということであり、より楽しく歌舞伎を観られることにつながります。
    • 歌舞伎は女性役も男性の役者が演じます。男性役を「立役(たちやく)」、女性役を「女方(おんながた)」といいます。
    • 物語の重要な場面や登場人物の気持が盛り上がったときなどに、いったん演技を止めてポーズをとることを「見得(みえ)」といいます。
    • かっこいい人を「二枚目」といいますが、これは歌舞伎が由来です。一般的に歌舞伎の二枚目は顔を白く化粧します。
    • 舞台から客席を縦断するように同じ高さで張り出したものを「花道」といいます。花道は舞台の一部で、そこでも演技が行われます。
    • 芝居を盛り上げるために客席からとぶ掛け声を「大向こう」といいます。
  2. 舞台から離れた席を予約した場合は、双眼鏡があると役者の表情などをよく観察できます。また、季節などにもよりますが、空調の関係で肌寒く感じることもあるので、羽織るものを持参するとよいでしょう。
    • 観客の服装については、とくにドレスコードはありません。
    • 一部の会場を除き、食事は自分の席で食べることができます。お弁当は会場内で売られています(ただし事前予約制のところもあります)。また、飲食物の持ち込みも基本的には問題ありません。
  3. 当日は時間に余裕をもって会場に入りましょう。開演時間ではなく開場時間を目安にすると、ゆっくりと劇場内の施設を見学することができます。
    • 多くの場合、舞台の進行に合わせた出演俳優の紹介や作品の解説などをしてくれる「イヤホンガイド」という有料サービスを実施しています。利用したい場合は劇場の入り口やロビーにあるイヤホンガイド貸出所で申し込みます。 [13]
    • 一般的に、劇場では俳優の写真から配役、詳細なストーリーなどが記された筋書(パンフレット)が販売されています。購入して開演前に、その日の演目の情報を予習しておくと、より楽しむことができるでしょう。
  4. 基本的に歌舞伎は劇場内が暗くならないまま、演目がはじまります。演目がはじまったら、おしゃべりなど周りの人の迷惑になる行為をしないように気をつけましょう。
    • 歌舞伎を見慣れた観客からの「大向こう」も歌舞伎の一部といえます。大向こうは女性や1階席の客が掛けるのはよしとされないなどの慣習があるので、慣れてから行うようにしましょう。
    • 食事は幕と幕の間の休憩時間に食べましょう。
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ポイント

  • 歌舞伎はもともとは大衆娯楽で、それほど敷居が高いわけではありません。
  • 歌舞伎は歌舞伎座(東京都中央区)をはじめ、新橋演舞場(東京都中央区)、国立劇場(東京都千代田区)、大阪松竹座(大阪府大阪市)、南座(京都府京都市)、御園座(愛知県名古屋)などでも行われています。
  • 歌舞伎のチケットは電話、インターネット、劇場窓口で予約できます。
  • 歌舞伎は上演時間が長く、4~5時間くらいです。そのうちの一部を見る「一幕見席」もあります。
  • 予約した席が舞台から離れている場合は双眼鏡を持参しましょう。

・基本的に食事は休憩時間に自分の席で食べることができます。飲食物の持ち込みもOKなことがほとんどです。

  • 劇場内の施設を見学することも考慮して、劇場には早めに入りましょう。
  • 役者への掛け声は慣れてから行いましょう。
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注意事項

  • 映画や他の演劇と同じように観劇中は周りの人の迷惑になる行為は慎みましょう。
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